SYNAPXIS INSIGHTS / 03
外国人の延べ宿泊者数は、2013年の3,350万人泊から2025年には1億7,992万人泊へ、5.4倍になった。この間、地方への誘客を掲げた施策は数え切れないほど打たれている。ところが、どの県に泊まるかを決めている構造は、12年前とほとんど同じままだった。
各県の宿泊者数を、その県の人口と東京からの距離で説明してみる。人口の効き方が1.0なら、人口が1%多い県は宿泊者数も1%多い、という意味になる。
外国人宿泊でこの数字を見ると、2013年が1.50、2019年が1.42、2025年が1.50。距離の効き方は0.39、0.47、0.50。東京から遠い県ほど外国人宿泊がやや多い、という向きである。この2つも、説明のつく割合も、3時点で動かない。総数が5倍を超えて増えるあいだ、式そのものは同じ形を保っていた。
人口の効き方が1.0を超えていること自体にも意味がある。人口が1%多い県では、外国人宿泊は1.5%多い。人口に比例するのではなく、人口の多い県により強く集まっているということだ。実際、上位5県が占める割合は2013年の57.2%から2025年には61.6%へ上がった。分散したのではなく、集中はわずかに強まっている。
同じ計算を日本人宿泊で行うと、人口の効き方は2013年の0.71から2019年の0.80、2025年の0.87へと、少しずつ1.0に寄っていく。説明のつく割合も同じ向きに上がる。距離はどの時点でもほぼ効いていない。日本人の宿泊のほうは、この12年で確かに動いている。何がどう動いたのかは②で扱う。
ここにあるのは関係であって、原因ではない。空港や港の位置、宿泊施設の供給量、価格は入っていない。説明のつく割合が0.5にとどまるのは、半分が別の何かで決まっているということでもある。
東京都は計算から除いてある。全国の外国人宿泊の3分の1を占め、かつ距離の基準点でもあるため、残したままでは結果がこの1都に引きずられる。
構造が動いていないことは、地方誘客の努力が無駄だったことを意味しない。総数が5倍に増えた以上、地方の宿泊者数も増えている。変わらなかったのは配分のほうである。全体が同じ比率で膨らんだ、というのがこのデータの示す形だ。ならば配分を変えられるものは何か。まずは日本人の側から見ていく。
観光庁「宿泊旅行統計調査」(2013年・2025年は年の確定値、2019年は2025年確定値に付されている2019年比から復元)、総務省「人口推計」(2024年10月1日現在)をもとに作成。
2013年と2019年の宿泊者数に対しても2024年の人口を用いている。都道府県別の人口構成は12年間で大きくは動かないが、この点は結果にわずかな影響を与えうる。距離は県庁所在地間の直線距離で、実際の移動時間とは一致しない。
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